改善要求その2。

子猫の頃よりは猫相が良くなったグレコ。
だけど、他の子達よりは、やっぱり表情がきつめ。
そして、相変わらず懐かない。
さて。店長のIさんが畏まった感じでやってきた。
最初からバンバン言うつもりはこちらにもない。
まず、知りたかったのは、Kさんがどういう人物なのかという点。
元々、関西では大手の家具店に務めており、執行役員までいったらしいこと。
そこの顧客であった現社長に引き抜かれ、管理会社の親会社が抱えている飲食部門で、店長として勤めていたらしい。
なので、親会社での在籍年数は、実はIさんよりもずっと長いこと。
非常にまじめで、建物の不具合等に関しては細かく対応する能力があるそうだ。
そこまで聞くと、そんなに「出来ない人」ではないではないかと、思う。
得意分野はそっち方面なんだろうなあと。
あとは、税理士さんに言われていた統括責任者の名前を聞く。
管理会社の統括責任者は、親会社から来ている。
その下の地位が店長のIさん。
Kさんは?というと、年齢はずっと上だけど、Iさんの部下の位置だという。
そうですか。
ならば言わせて頂きましょう。
「実は、今日はうちから改善の申し入れをするために来て貰ったんだけど。その前にね。タイムリーな事に、昨夜ある人から、最近の管理会社さんの評判が悪くなってるらしいと聞きましたが、そういう事はこれまでに耳に届いたことがありますか?」
Iさんは、緊張した顔になり、「いえ、これまでそういう事は殆ど届いてないんですが・・・」
ということで、税理士さんから伺ったという事は伏せ、話の内容だけをありのまま伝えた。
複数のオーナーさん達が昨秋から苦情を言いだしていること。
時期的にはIさんからKさんに変わった頃なので、多分Kさんの事だろうと言う事。
で、今回うちから申し入れようと思っていた改善点も、似通ったものであること等々。
Iさんは真剣な顔をして聞いていた。
Iさんは新規開拓で走り回っており、多分Kさんの仕事ぶりを事細かくチェックする余裕もなかったろうと思う。
まったくもって、初耳だったようだ。
「連絡が遅い、もしくは報告があまりないとなると、オーナーさん達は、忘れられてると思ってしまうし、後回しにされてると思ってしまうし、頼んだことがどうなってるのか判らないから文句も言いたくなってくるよ。担当者さんには苦情は入れてると言う話しだったから、もしそれが本当なら、昨秋から今に至るまで、殆ど変ってない事になりますね?」
Iさんはじっと黙って考えながら聞いていた。
「うちが今回改善の申し入れをしようと思ったのは、同じような事もあるけど、管理を引き受けた以上出来て貰わなくては困ることが出来てないような気がするので、結局報告等々にしてもそうだけど、Iさんの耳にこれまでこういった事が届いてるのかどうかを、まず知りたかったんです」
Iさんの話では、そういう事が殆ど自分のところに上がって来てない事。
元々、色々言ってくれるオーナーさんが殆どいなかった事などで、Kさんの所で苦情が止まってるのかもしれない・・・だった。
私も同感です。多分そうでしょう。
「勿体ないでしょ?一生懸命新規開拓して積み上げて行っても、足元から崩れていくのは。頑張りがいがないよね」
Iさん、苦笑い。
Kさんと一緒にオーナーさん達の所へ挨拶がてら一緒に回っていた時、Iさんが思った事は、Kさんはとてもフランクにオーナーさんと話しているので、初対面でも堅苦しくなく、その点は上手くやっていけそうで、反面少し硬いと思われがちな自分(Iさん)から見ると、そういう点は羨ましいなと思っていたらしい。
既に基盤が出来ていた旧管理会社を吸収し、その顧客も引き継ぎ、オーナーさん達とも問題なくやれているようにIさんには見えていたらしいが・・・。
「安心していたのかもしれません。そういう基盤が最初にあったということに・・・」
「とにかく、Kさんが成長するまで待ってくださいなんてことは、会社として絶対言えませんし、恥ずかしい事なので、ちゃんと出来るようになるまでは、上層部に相談して、僕が管理に暫く戻れるようにしてもらおうと思います」
よしよし。ぜひそうしてもらいたいものです。
「あとはね。事務所の家賃についてこんな言われ方をされましたが、これはどういう意図ですか?」
例の「使ってないけど払ってる。ま、しょうがないとして」だ。
Iさんは、怪訝な顔をしているし、Iさんですらいきさつを知らなかったので説明した。
「どちらにしろ、ああいう言い方は、はっきり言ってどうかと思うし、正直恩着せがましいと思いました。」
Iさんの話だと、会社では一切そういう見直しの話とか出ていないとの事。
なので、これは完全にKさんの暴走?失言?って事。
どうも、本社の慰安会でも、Iさんから見て時々「失言だろう」と思える場面があるそうだ。
フランクも間違えると失言になるね。
「あとね。少し前にマンションで出会った時、掃除を手伝ってくれたんですけど。それはいいんだけど、終わった後雑談してる中で、私にパンパンと突っ込みを入れましたよ」
「〇〇ですやーん」と、手の甲で私の左腕をパンパンと軽くたたいて突っ込みを入れたのだ。
びっくりした。
友達でもないし。12年付き合っている税理士さんでも、さすがにそれは無い。
まして、まだ担当が始まってから2ヶ月ほどの頃だ。
クライアントに取る態度でもないし。
「あれはあかんよ。」
Kさん、うっかりフランクすぎる自分が出てしまうらしい。
フランクっていうのは、とっつきやすいという利点はあるけど、この場合は、明らかにそれを超えている。
会話がフランクなのは歓迎するが、叩かれるのは歓迎しない。
クライアントに対して気が緩んでるとしか思えない。
「多分、Kさん、奥さん(私)の事が優しそうなオーナーさんだと思ってたみたいなので、そういうのが・・・」
そう見えていたのなら実際と全然違うけど、そういう解釈でああいう事をしても大丈夫だと思ったのなら、それは完全に間違っている。
「対お客様」の意識がどこにもないではないか。
「正直、馴れ馴れしいと思いましたよ」
どうもKさん、本社の女性社員にもするらしい。
セクハラかどうかの話を私はしているのではないが、Iさんは「相手がどう受け取るかが問題なので・・・」と。
ま、それよりも、同僚さんとお客さんの区別がどこかへ飛んでしまう事が問題でしょう。
とてもまじめという評価は、こういう事で全部ひっくり返る。
ましてや、Iさんから見たKさんのまじめさが、残念ながら伝わっていない。
おまけに、オーナーさん達は、たまにしか顔を合わせないのだから、余計人物像が理解できない。
とにもかくにも、頼んである見積もり。3週間経ってもまだ出て来ないので困ってる事を伝える。
領収書も、払ってないのに先に届いたので、何を見て書いているのか不思議に思っている。
リフォームの見積もりも、猫社長さんの所に一括するつもりでいたようなので、相見積を取るはずなのに、どうしてそうなるのかわからない事も伝える。
Iさんは「あそこは絶対猫社長さんにお願いしてない物件なのに、なんでそうなったんだろう?」と首を傾げていた。
今の状況では低コストでしっかりやってくれる業者を探して貰いたい事をお願いする。
業者の開拓もしてほしい。
「それは今やっていて、増えて来ています」と、ここは嬉しい報告だった。
「何にせよ、オーナーさん達は、こういう事が早く進まないと困ってしまう。何が困るのか、何を優先してしなきゃいけないのか、コストの面や収益の点も合わせて考慮してくれる事が必要です。見積もりが出るまで3週間以上もかかると、その間損失を日々重ねていってるだけになりますから」
まあ、このように、思っている事は一通り伝えたつもり。
部屋の状況もよく確認せずに、リフォーム済みの部屋を再度リフォームしようとした点も伝えたが、まじめなら、もっと細かく調べて把握してもらいたいものだ。
ただ、前回電話で私が怒った後、Kさんは「どうしよう・・・」と言っていたらしい。
でも、その「どうしよう・・・」と頭を抱えたのか焦ったのかどっちが知らないけど、その後、また同じようにケロッとした態度で話していたので。。。
打たれ強いのか?マイペースすぎるのか?苦情を苦情と受け止めてないのか?
その場で言われた事をやるだけなのか?
全体に反省することはしないのか?
1つ注意されたら、それは全部に当てはめて再考してもらいたい。
それが出来てないから、多分、昨秋から今に至るまで、同じような苦情が出るのだろう。
そして、それが苦情ではなく「頼まれた」「注文された」程度の認識なのかもしれない。
Iさんも「Kさんに苦情として響いてないのかもしれないので、その点も含めて本人と話をし、管理に戻して貰って教育します」と言ってくれた。
そして、「これだけはっきり言って貰ってありがたいです。大体の方は何もおっしゃらないので・・・この前、この村の人は腹を割って話さないからって仰ってたでしょう?」
「あ。いやいや、私が聞いた話のオーナーさん達ってのは、この村と限定されてませんよ」
実際、この村の・・・とは、税理士さんは言われなかったし、私もどこの?とは訊いていない。
でも、なんとなーく・・・Iさんには心当たりがあるようだった。
口で言わなくても、腹の中で積もり積もっていそうなオーナーさんの顔が、1つは思い当たったようだ。
そんなこんなで、改善要求の申し入れは終了。
あとは親会社の上層部が動いてくれたら、Iさんは、また暫くの間、担当者として戻ってくることになるだろう。
ぜひ、それを期待したい。
今のKさんでは、「一人で任せるのは無茶だと思う」と言っておいたし。
通ると良いな。この要求が。
ただ、もう1つ。言わなきゃいけない事があったのだけど。
それはもう詳しく書くとややこしいので・・・。
要は、Kさんが年始にやらねばならない事をぼーっとして忘れていた為、今月入居者さんから回収できるはずの光熱費が回収できなくなるという事だった。
いや、実際には余計な考え方をしていたため、そうなるところだった・・・というのが実情なのだけど。
私がこれこれこうだから、いつも通りに請求書を出しているのならそれはちゃんと振り込んで来られますと説明して終わった。
ぼーっとしていたツケを、こちらに「光熱費未回収」という形で解決させようとしていた事自体に、全然気づいていないKさん。
一面からしか考えないからそうなるんですよ。
もっとよく内情を勉強しといてください。
ああ・・・喋り過ぎて本当に疲れた1日だった。
でも、これでIさんが戻ってこられたとしたら、他のオーナーさん達もとりあえずは安堵される事だろう。
Iさんが帰る時に一言。
「Kさん自身は、自分が苦情を言われた覚えはあまり無いんだけどな~と言うかもしれませんね」
すると、Iさん鋭く一言。
「そこです!と突っ込みます」
そうです、そうです。もっとあちこちの気持ちを汲んで、表情を読んでくれないと困りますからね。
どこが悪いのか。突っ込まれまくってください。
「そこです!そういうところが問題になってます」と言われてもピンと来なければ・・・もうあかんなあ。
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