チョボへの相談。

今日でチョボが亡くなって11年。
子猫の時に3日間行方知れずになっている際、私に「助けて」とテレパシーを送ってきた子。
外出先で、いきなり酷い胸騒ぎに襲われ、用事を切り上げて急いで帰って発見。
少し遅れていたら助からなかったと先生に言われて入院治療の末、一命をとりとめたね。
その時の後遺症か何かわからなかったけど、10歳9か月でこの世を去った。
おかあちゃんね、今でも後悔してるんだよ。
色んな治療を繰り返し、手術もし、でも、それがもしかしたら負担になってしまったんじゃないかと。
あの頃のおかあちゃんは、何が何でも生きながらえるなら治療をするって思ってたから。
今思うと、しんどい上に更にしんどい事を上乗せしてしまったような気がして、最近は色々考えるようになったよ。
あのね。ちょっと聞いてほしいんだ。
お前が亡くなってから数か月後に、おかあちゃん、農業倉庫で親子7匹を保護したでしょ。
そのうちの子猫3匹がグレ・ライス・リオ。
お前は直接会う事はなかったけど、きっと天国から見てくれてると思う。
その中のリオがね、悪性の腫瘍を抱えている事が今日はっきりわかったんだ。
ここ数日体調を崩して、入院して治療して、退院できるようになって昨日家に帰ってきたけど、今日再検査に行ったら、また数値が悪くなっていた。
それと同時に、腫瘍が悪性だったって結果も知らされた。
しかも、そうとうやっかいな癌だって。
治療の方法は手術がまず第一候補。
でもね、かなり大きく切らないといけなくて、しかも深い所で悪さをする癌らしくて、切る深さも必要だってことで、場合によっては骨を切ることもあるって言われた。
それに、お前も通っていた病院では設備が足らなくて、対応出来る大学病院とか専門病院でないと駄目なんだ。
それが遠いんだよ。
それとね・・・
その手術をすると、完全に腫瘍を取りきることができた場合、生存率は確かに上がるけど、2年、3年とかだって。
不完全だった場合は1年?
不完全になってしまう可能性もあるんだよ。やってみて、完全に取りきれないという結果も起こる。
その手術が大変であればあるほど、不完全に終わってしまっては、リオに術後の多大なる苦痛と回復までのかなりの入院生活を強いた分、かえってどうなんだ?って。。。おかあちゃん思ってしまった。
でもね、たとえ完全に取り切れたって、苦痛と負担は同じ事。
皮膚も、広く切り取った分再生出来るまで相当時間がかかるのと、上手くくっつかなければ移植もあり。
おかあちゃんが今まで体験してきたお前たちの手術の域を超えてると思う。
先生自身が「かなり大変な手術」って言うんだもん。
入院から退院までの間を耐えらえる子だとは、おかちゃん、どうしても思えないんだ。。。
痛い、辛い、怖いの毎日が暫く続く生活。
家で過ごす時間を奪って、病院での長い時間を過ごして、余命が伸びても2~3年。
2~3年は大きいと思うよ。決して短いなんて思ってない。1年だけだって生き延びてほしいと思う気持ちも当然あるんだよ。
でもね。。。
大変な手術を受けるのはおかあちゃんじゃなくて、リオなんだよね。
痛みも怖い思いも代わってあげられない。
回復して家で生活できるようになるまでの時間がどれほど必要になるのかわからない。
そうなってくると、体の辛さより心の痛みの方が、おかあちゃん、なんか重いような気がした。
なのに、こんなことをして延命して、それはやっぱりどうなんだろうって。。。
5年、10年生きてくれるのなら、リオの性格がもっと強い性格なら考えたかもしれないんだけど・・・。
やっぱりそこまでの手術をしてってのは・・・
場合にもよるけど、リオの場合は選択すべきじゃないんじゃないかって。
おとうちゃんにも相談したら、同じだったよ。
「もし、自分がリオの立場だったら、そんなのはまっぴらだ」って。
手術をしても100%の治癒率ではないし、3年後にも生存している率は当然1年目より下がるんだよ。
再発率だってあるんだよね。
おとうちゃんは「完全に治るならまだしも」って言ってる。
おとうちゃんもおかあちゃんも、そういう考え方だから手術を選択しないという決定をしたんだけど、リオ自身がもしどう思うか聞くことが出来たら、チョボ、あの子はどう言うと思う?
チョボ。
おかあちゃん、一杯チョボに治療しちゃったよね。
治るって思ってたから。
だけど、しんどかったんじゃないかな。
何も言わずに素直にしんどい治療や手術を受けてくれたけど、結局最後は麻酔から覚めることが出来なかった。
もしも手術をしなかったら・・・
結果は同じく早い段階で旅立ってしまっていたとは思うけど、しんどい思いをして旅立つのと、静かに家で過ごして旅立つのとでは全然違うと思うんだ。
良かれと思ってやったことが裏目に出るってあるもん。
おかあちゃん、一杯経験した。
方法はあっても、その子にそれを選択していいのかどうか。
出来る範囲の事でのんびりしてもらう方がいいのじゃないか。
結局ね。
手術をせずに、「やらないよりはやった方がマシ」という抗がん剤治療を選択したよ。
これも延命には違いないけど、家で過ごせるからね。
これでいいんだろうか、チョボ。
余命はあんまりないんだ。
抗がん剤が少しでも働いてくれたらいいけど。
辛い時間を長く過ごして生きるのと、短くても残りを楽しく過ごすのと。。。
抗がん剤だって途中で副作用が強くなってしまったら止めざるを得なくなるけど。
おかあちゃんね、やっぱり今のリオの時間を入院で奪いたくないな。
この前つくづくそう思った。
我慢してねって言うのは簡単だけど、それはおかあちゃんの事じゃないからだよね。
3日間が限界の子を何週間もなんてやっぱ無理。
先生がさ、リオの患部を触って「やっぱり手術は・・・難しいかなあ」と言ったよ。
かなりの無理を強いることになるって事だよね。
チョボに相談というより、これで良かったのかという問いかけだね。
この前まで元気に走り回っていたのに。
今ね、グレと仲良く炬燵の中でくっついているよ。
おとうちゃんと協力して、もっと楽しく暮らせるように頑張ってみる。
リオがワクワクしてくれるような、興味をもってくれそうな物も用意してみる。
病院では出来ない事を、逆に家でなら与えてやれる安心感をリオに感じてもらえるように。
抗がん剤治療は土曜日に開始なんだよ。
使えるのは1種類だけ。
3週間に1度半日入院だって。
あとは自宅で3日に1度くらいの皮下点滴と、ステロイド剤を毎日1回投薬。
お薬は明日からだよ。
飲ませるの難しい子だけど、ここは目いっぱい頑張らないとね。
チョボ。
おかあちゃんの選択間違ってないかな。
もう一度訊くけど、間違ってないかな。
いつその日が来るのかわからないけど。
リオが残りの猫生を精一杯生きていくんだから、おかあちゃんもめそめそしないで一生懸命生きていくよ。
この家が終焉を迎えるまで。おかあちゃんも生きる。
それからね。
可哀想だなんて事も言わない。
そんな事言った途端にリオは救われなくなるから。
可哀想な子で終わらせるつもりはないし、思いのほか短い一生であったとしても「幸せだったね」と言ってあげる。
チョボ、聞いてくれてありがとう。
ありがとね。
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