なかなかに厳しい。

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(共に以前使った写真)


昨日、1年に1度のピアノの調律がありました。
以前も書いたことがありますが、このピアノは義父が母屋に応接間を作った際、「応接間にはピアノがある」という昭和中期くらいの古い発想の元?(^^;) 義弟の紹介で購入したポーランドのレグニカとうメーカーのアップライトです。
ほぼほぼインテリア目的。でも、嫁に来る私が子供の頃少し習っていて少々弾くことがあるだろう~という感じで、ずっと応接間に鎮座。
でも、結婚生活を隠居で送っていた私は、母屋に行って「ピアノ弾かせてください」というのもかったるく、遠慮もあったのであまり触らないままでした。

ある時を境に、このピアノは会社の事務所に引っ越しさせ、仕事の合間などを利用して自主練開始~となって数年経つんですが、その際、気兼ねなく好きに弾きたいと思って、義父が買った値段の半額で私が買い取りました。

その際、義弟の知り合いがずっと調律をしてきたのを変えました。
(私、少々どころかかなり苦手なタイプの人だったので)

で、今の会社に変わって5年ほど経ちますが、これまでやってくれていた女性が退職したとのことで、昨日若い男性の調律師さんがやってきました。

かなり背が高くてガタイが良くて、「帰国子女で歯医者になろうと思っていたのに、なぜか調律師になりました」という方でした(笑)

えらく職種が違いますね~~。

非常にざっくばらんにサクサク話す方で、こちらの質問に答える時は、まるで先生が生徒に答えているかのよう。
例えば「アップライトだとトリルが追いつかない感じがするんですけど」と言うと「グランドピアノよりもアップライトは連続打鍵が確かにしにくい」と。

「しにくいですね。」ではなく「しにくい。」

「子供の頃弾いていたカワイのアップライトは、ソフトペダルを踏むと少し柔らかい音色になったんですけど、このピアノは踏んでも音色は変わらず、鍵盤が軽くなるだけのような気がするんですけど、そういうもんですか?」に対しては、「アップライトのソフトとグランドのソフトはそもそも使い道が違う。カワイはアップライトでもそういう風に作るようにしていたのかもしれないけど、ソフトペダルで音色が変わるのはグランドピアノ。」

「です、ます」が省略されることがちょくちょくありました。でも、不思議と全然嫌な感じもせず、ほーほーと生徒になった気分で、あれこれ教えて貰いました。

で、その後、色々構造的な仕組みなどを教えてもらい、ペダルを踏むとギコギコ音が鳴るのも、中の部品の木を削ってくれて、踏み心地も軽く良くなりました。
そういうことをしてからようやく調律開始。

「調律に入るまでめっちゃ長いわ~」と笑ってましたけど、今までの調律師さんと少し違って、鍵盤のタッチの調整が終わった部分と終わってない部分を私に弾き比べさせて、その違いを実感させてくれましたし、「調律は音を合わせるのだけではなく、いかに綺麗な音が鳴るようにするかということ」と、時折汚い音と綺麗な音を聞き比べさせてくれたりと、結構面白い「授業」を受けました。

あと、色んなお客さんの所へ行くので、クレームも色々あり、その中でも面白かった?ものを2つほど話してくれました。

1つは、お爺さんから電話があって「ピアノから雑音がするのでもう一度みてくれ」というもの。

行ってみたらピアノからは音がしない。
立ち位置を変えてみて、本人さんに聞いてもらっても雑音がしない。
で、色々理由を探っていって解った事は、ピアノを置いてある壁の真裏の部屋の壁際に、食器棚が隙間3センチほどを空けた状態で設置されていたのが反響していたようで(笑)

「それならそうと最初に言ってくれよ~~って」と心の中で苦笑いだったそうです。

もう1つは、ピアノの先生をしている女性から「今まで聴き取れていた低音部の音階が聴き取れなくなっている。やり直して」

「そんなハズは元々ないんですよ」と調律師さんが私に言うので、「う~ん、まあ、そう・・・なんでしょうかね」と。

私も確かに鍵盤のおしまいに近いあたりの超低音の音階は、いきなり鳴らされても何の音かわかりません。
わかんないような音の鍵盤が必要なのか?と思う事すらありますし、ここまで低音を使った楽曲は私はお目にかかっていません。

「音階なんかわかんないんですよ。どうしてだかわかります?」と質問されたので、
「人間の耳で聴きとれないヘルツだからですかね?」と答えると「そうです!」と返ってきました。

人間が可聴出来る範囲のヘルツは決まっていて、ピアノのもっとも低い音なんかはその範囲から外れているため、いきなり聴いても音階なんかわからないのが当たり前なんだそうです。
ほら~~だったらなんでこんな鍵盤が必要なの?って思っちゃいます(笑)

なので、このピアノの先生のクレームは、単なる思い込みなんだろうという事で、お家に伺ったものの、既に調律としては合っているわけだから、「調律するフリ」をして「直りました」と言ってみたそうです。
そしたら「ほんと、直ったわ」と言われたんだとか。
調律師さんは何もしてないんですよ?だけど、聴き取れていたという思い込みがあるので、何もしてないのに「直った」と感じているだけなんですね。面白いお話でした。
もし、ほんとに聴き取れていたのなら、何もしなかった調律師さんに「まだ直ってないわよ」と言い続けるはずでしょう。

あと、「一番多いリクエストってどんなのがあるんですか?」という質問に対しては、「特に多いのがピアノの先生で、タッチを重くしてくれというのが多い」とのこと。

タッチを重くすると確かに弾くのがしんどいです。軽いタッチで音が鳴る方が楽なのは確か。
だけど、これ、私も子供の頃教わりましたが、「重い鍵盤で練習しないと指が弱くなる」という事でした。

「重いタッチで弾いたらうまくなるかというと、絶対違うんで」と調律師さんは言いきっていました。

ピアノの上手い下手は、指の強さを鍛えることとイコールではないのは私も分かります。

「いかに綺麗な音を出すか」という調律師さんの言われることは、最近よく読んでいるショパン絡みの本での弟子の言葉や、友人の言葉に表れているのですが、日本にピアノ教育が入ってきた頃の教え方は、ドイツ式?どうやらクラブサンという楽器を弾く際の奏法だったという記事も読んだばかりで、そういう大昔の教育のまま今に至るピアノの先生が、日本ではまだまだ多いのだろうと思いました。
私も子供の頃に受けた教育がそういうものだったんだと、今との違いに驚いているところです(^^;)

あと、「え~~?」っていう注文は・・・

「私が弾いたら上手に聴こえるように調律して」っていうのがあったそうです。

こればかりは・・・アホな!と私も呆れて笑ってしまいました。

しかし、分解されたピアノをしげしげ眺めていると、こんな大きな楽器を最初に作ろうと思って作った人はいったいどこの誰だったのか、面白いな~と思ってそれを口にすると、調律師さんからまた質問が。

「ピアノってどこが発祥か知ってます?」

ん~あら・・・そういえば、そんなこと考えた事無かったぞ(恥)

「…ドイツ?」

「ドレミってどこの言葉かわかります?」

「ドレミ・・・(う・・・案外こういう知識がない私・・・しかし英語でない事は確か。ドイツ語なら・・・ツェーデーエー…ローマ字よみとほぼ同じで良かったはずのヨーロッパの国となると・・・)イタリア?」

「その通り!なんで解ったんですか?」と聞かれて、消去法でいったらそうなったと言うと「イタリア語って出てくるのが凄いわ」と笑われました。なんでやねん(笑)

高校の音楽の授業で、「オーソレミ~オ~」の曲が少しだけ載っていたのですが、その時の原語の歌詞がイタリア語で、ほぼローマ字よみのままでいいと習ったのです。その記憶があったから正解できたのでした。ああ、汗かくわ。

知ってて当たり前のことを知らない事が多い私。
楽典もろくに勉強してませんのでねぇ(汗汗汗)

調律も終盤にさしかかり、調律師さんも「あとちょっと!」と自分に喝を入れてました。
なんでもかなり疲れる仕事らしいです。これって。

「僕ね、帰国子女で歯医者になろうと思ったんだけど、調律師になって、学校では成績1番だったんですよ。で、前勤めていた会社ではかなりよく出来ると褒められて天狗だったんですね(ここで、鼻をピノキオみたいに伸ばす)。でも、今の所に変わったらボロクソ。トイレで泣いたこともあったな~辛かったぁ~・・・うちの会社、半年の試用期間中にモノにならないとクビですから」

はぁ~~厳しいんですねぇ・・・。ちょっとびっくり。

調律師を目指して色んな学校へ行く人がいるけど、残るのはほんの少しだそうです。辞めていく人の方が多い。
それくらい色々と大変で辛い仕事なんだな。
こっちは「お願いしまーす」って頼んで、傍で見てあれこれ質問したりと気楽な状態だけど。

今、どうやら見習いのような人が1人入ってきているらしいけど「あいつも多分もたへんやろうなぁ・・・」と、ボソっと小さな声で言ってました。

たまたまネットでみつけた会社ですが、そうとう厳しいポリシーの元、仕事をされるようなので、どこに任せようか迷いもありましたが、良い会社であって良かったと思いました。

だって、手抜きをする人だっているってんですから。

調律の最中、「その辺りがね、どうも合ってないような気持ち悪い感じがするんです」と指さす私に「結構耳敏感ですね。これは手抜きでけへんな~」と。

「手抜き~~?」

「いやいや、手抜きは絶対しませんよ。でもね、手抜きしようと思ったらいくらでも出来るんで。だって、調律師が合ってると言ったら、それを信じるでしょう?」

確かにねぇ。自分の耳に絶対の自信がない限り、そうなるかなあ。
(中には、可聴不可の音域に注文をつける絶対的自信?を持つ方もいたみたいですが・笑)


そんなこんなで色々面白いお話を聞きながら、また私の知識もちょびっとだけ増え、2時間かかって調律終了。

「初めて見たピアノなんで、2時間かかってしまってすみません。多分、新卒の子がこのピアノの調律に来たら、何もできずに泣いて帰ると思います・笑」

そう。このレグニカ、調律師さんも生まれて初めて見たそうです。
「日本では殆ど流通してないでしょう?」と言われて、「ネットで調べたらどうもそのようでした」と答えると、「作り方がちょっと変わってますしね」とのこと。

同時期に買われた方のブログをたまたま発見した際「日本に4台しか入っていない」と言われた~と書かれていたので、同時期ということは、このピアノもそのうちの1台なのかな?
なんせかんせ見た事がないピアノを見たというので、調律師さんもいつもより時間が掛かったそうです。

色々やっていただいて、定期調律の値引きもありで、13000円でお釣りが少々。
どうもありがとうございました。また来年もよろしくね~~。

帰り際にこんな話。

「テレビで、関東さんという人の隣か向かいに関西さんという人が住んでるという面白い話をやってたの知ってますか?」と言われたので、「知ってる」と答えました。
以前、珍百景で見たんです。他の番組でも1度見ました。
関東と関西が並んで住んでいるということで、メディアに何度か登場してるんですが、この調律師さんは「僕、関東さんの所へ仕事行ってるんですよ」と。

へ~~(笑)


さて。

レグニカについて、以前ネットで調べた時はさほど情報がありませんでしたが、今再び検索してみると、浜松ピアノの社長さんのブログにヒット。
読んでみると、「超珍しい中古のピアノが入荷」ということで、レグニカが紹介されていました。
私の持っているレグニカのピアノとはタイプが違いますが(うちのは猫足)、30年取引をしていてレグニカを扱うのは初めてとのこと。
日本では馴染みがないメーカーだけど、ヨーロッパの人は知っている人が結構いるらしい。
昔は日本にも少しだけ入ってきたことがある。
レグニカの中古が入荷するのは非常に珍しいんだそうです。
うちのも値段的に中古の可能性ありです。
この社長さんが言うには「音楽の塊・出来はロシア製より劣る」でした(笑)
社長さんは音色的にもとても好きなタイプだと書かれてありました。
ロシア製より劣る・・・工業的にでしょうかね?
まあ、とにかく今不具合も出てきている私のレグニカですが、珍しいには違いないので、大事にしたいと思いますが。。。
そのうち、オーバーホールに出さねばならなくなるんでしょうねぇ・・・とんでもない金額がかかりそうで怖いです。
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テーマ : 日々のつれづれ   ジャンル : 日記

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Author:家主です。
家猫6匹+庭猫5匹の母業にいそしむ猫バカです。愛玩動物飼養管理士1級です。でも 落ちこぼれなので あんまり質問しないでね(笑)
関西在住。趣味はピアノ(ショパン大好き!)歌うこと・旅行・食べること!
でも、キュウリとアンコは嫌いです(笑)
好きなピアニストは クリスティアン・ツィメルマンとマウリツィオ・ポリーニ。こんな私ですがよろしくお願いいたします☆

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